バロック・文芸データ

ASYMMETRY

Hold Baroque Inside Yourself

神を護る者と為らん

地の底に在[いま]す真理の詩
始と終を紡ぐ無数の断章

かそけき影は蜃気楼の如く
幽かにひよめく残像となりて

喪われし双星の揺り籠の夢に
永遠に醒めぬ微睡[まどろみ]に沈む

虚[うつろ]に充つるは清冽なる面影
果たされし一刹那の邂逅と解放

 

(来ないで……)

 

[BAROQUE

17世紀に流行した芸術様式。
「歪んだ真珠」というポルトガル語を源に、不調和、過剰さ、混乱を意味する。

だが、大熱波前後の世界で使われたこの言葉は、違った意味を持っていた。
それは、「歪んだ妄想」

崩壊し、荒れ果てた世界では、人はより多くの妄想にすがらなければ生きる意志を持つ事が出来なくなっていた。
今、人々はバロックを抱えて、生き抜いている。]

 

(あなたは私……私はあなた……

そして私はあなたの肉)

(罪の許しを……)

而して世界は痛刻なる光に灼かれ
条理は懶げに崩落し、歪[いびつ]に変ず

汝、贖罪を求まば、堕したる理を戒めよ
その刻に刻まれし罪と失われし片翼と共に

汝の罪を、世界を癒やせ



In the depths of the earth lies the song of truth.
Countless words flow from the beginning to the end.

A faint shadow wavers feebly
like a mirage in the distance,

as the severed twins' dreams rests
deep within eternal slumber.

(Absiste)

(Ego corpus tuum sum.
Tu corpus meum es.
Ergo corpus unum sumus.)

Purity filled the abyssal void.
But alas, a fateful release followed an ephemeral union.

The light of agony seared the world,
and nature's designs were slowly twisted.

If atonement is what you seek,
then reprove the fallen truth--
bearing the weight of your sin and your lost wing.



*おまけ*英語の詩の和訳*

地の底深く真理の歌が横たわり
数知れぬ言葉を原初から終末まで流し出す

かすかな影がわずかにひらめく
彼方に、蜃気楼のように

安らかな永遠の眠りにうち沈む
切り離された双子の夢のように

 

[止むべし]

[我が肉体は汝[なれ]のもの
汝[な]が肉体は我のもの
我らは一者なればなり]

 

虚ろな深淵を純粋さが満たす
けれどもああ、つかのまの合一の後には逃れようもない切断

苦しみの光は世界を灼き
自然はゆっくりとねじ曲がった

もし償いを欲するならば、落ちた真理を非難せよ
罪と失われた翼の重さに耐えながら


*我が戯れの訳も(特にラテン語は冗談で訳している)まずいが、もともとの詩もいまいちである……。 「而して世界は……」の連の二行目は「懈[だる]げ」とも読めるのだが、独断により「懶[ものう]げ」を採用した。