バロックの物語
*せりふ等より推測して再構築。外部資料・ノヴェライズなどに依拠しておりません。ゲームのみをソースとしています。二次創作のページではありません。また、物語内容に責任は持ちません*
創造維持(創造維持神)という不思議な存在がいる異世界が舞台である。[取説には2032年とあり、種々のセリフも現実っぽいが、こんな神がいる世界は異世界としか考えられない。]
創造維持は世界を創造し維持する。従って創造維持は世界そのものによって自己を表現し語りかける存在であった。
この世界には〈マルクト教団〉と呼ばれる科学者の宗教団体が存在し、創造維持の力を研究している。教団の指導者である上級天使は、神の情報収集機能を担うものであるらしい〈感覚球〉を研究してその偽物を作り、そのために世界が歪み始めてしまう。
上級天使は最愛の姉も歪み始めたことに懊悩し、またそんな彼女を排斥しようとする親や世間に憤りを感じ、世界をもっと歪ませることを考える。[このあたりがあやふや……]
そして立てた計画が創造維持を狂わせる計画だった。そのために、神から痛みを抽出し、天使虫リトルという形にして閉じこめるという方法を考え出す。痛み、つまり危険を感じない神は、偽りの情報によって狂わせることができると上級天使は考えたのである。
実際の作業に当たったのは、上級天使の直属の部下である天導天使であり、またその部下の首の者である。二人は痛みしか持たぬ存在リトルを作りだしてしまうという残忍な所業を深く後悔するようになる。
上級天使の計画通りに神は狂い、世界はもっと歪んでいく。上級天使は自身が神を狂わせたことを伏せ、神の浄化計画を発表する。すなわち、神が狂ってしまったので、痛みそのものであるリトルを弾丸として神に撃ち込み、狂った神を浄化する、という計画を教団内上層部に公表する。
そのリトル計画に反対し、神の真意を確かめたいと考えた天使たちの一団がいた。それがコリエルと呼ばれる12人で、主人公もそのうちの一人である。コリエルたちはダァバール計画と呼ぶ神と人間の融合計画を推し進める。神に人の言葉を与え、神の狂気を見定めようというわけである。
主人公はダァバール計画で、神と融合する役目を申し渡される。主人公はシャム双生児として生まれ、一つの心臓を兄と共有してある程度成長した後に、兄を犠牲にして自分だけが生き残るという、辛い体験を持っていた。半身を失って深く傷ついた心を内に秘めている主人公が、神との融合に適任とされたのである。
上級天使の目を盗んで計画は実行され、ダァバールは成功する。だが、計画に気付いた上級天使が融合を無理矢理解除、ために世界は暴走し、大熱波と呼ばれる破滅現象が起きてしまう。 それは5月14日のことであった。
世界は半ば滅び、今やすべてが歪んでしまった。そして再び切り離されるという痛みを味わった主人公は、上級天使に記憶を奪われ、上級天使の指示に従う人形のような存在に成り果てている。だが、それでも、主人公には神と融合した時に分け与えられた力が残されていた。
主人公は浄化能力を持つうえ、感覚球を通り抜けることもできる。感覚球に生身の人間が入れば、その者はひどく歪まずにはいないが、主人公はそのようなことにはならないのである。その能力を重視した上級天使は彼のクローンを何体も作り、創造維持の浄化をさせるべく計画を練っている。浄化によって得られる〈神のイデアセフィロス〉により世界を再創造できるのだ。
上級天使は自分が創造維持となって世界を作り替えようと考えている。彼自身はその最下層に神が守られている〈神経塔〉の地下深く、感覚球に突き刺されていながら死にもせず、幻影を送って指示を流し続けている。
かつてはただの球体のように見えた創造維持は、主人公との融合と剥離の結果、今や女性の姿になっており、分身としてアリスとイライザを送り出し、主人公を動かそうとする。大熱波によって感覚球とつながり、世のすべてを知るようになってしまった心読みの者も、主人公に行動のヒントを与える。主人公は兄弟の幻影にとらわれながらも、自分と世界の真実を次第に知っていく。
やがて主人公は、創造維持への愛にすべてを賭けるべく、創造維持との再融合を目指す。また、リトルを解放し、その痛みを創造維持に戻すことにより、神を狂気から救い出す。そうして、主人公は最後に創造維持と真の融合を果たすのだった。
[物語の展開を考えると、創造維持との融合は、最後だけでなければならないはずだ。収集を考えなければ、その道は存在する。そしてそれは最短ルートともなっている。また、ゲームの性質上、クリア後も世界に変化はないが、物語としては、本来、最終的な融合により新たな創造維持が誕生して、世界は変わっていく、というのでなければおかしいだろう。]